順天堂医院での無痛分娩 その3 〜出産当日〜

2016年5月12日、長女を出産しました。

予定は5月6日だったので、6日遅れての出産となりました。

私が分娩した順天堂医院では、無痛分娩といっても出産日を決めて麻酔するのではなく、陣痛が来てから病院へ行き、子宮口がある程度開いてからの麻酔投与・出産となります。

予定日前後に何度か、陣痛か?と思う波が来るも遠ざかる。を繰り返していました。その波が来るたび検索魔の私はインターネットに聞いてみるのですが、Yahoo!知恵袋には私の聞きたいことがすべて質問済みで、「これは陣痛でしょうか?」という問いがいくつもありました。

「陣痛は疑う余地無く陣痛だと分かる痛さなので、質問している時点で違うものです」の回答がベストアンサーでした。未知の領域に踏み入れた者のみぞ知る経験談。

実際私はどうだったかと言うと、本番の痛みがわからないもんだから我慢しすぎました。

 

5月12日の日付を跨ぐちょうど午前0時、陣痛が始まりました。痛みがどんどん増してきて寝られず。午前4時、寝ている主人を起こして陣痛タクシーを呼んでもらい、病院へ向かいました。立ち会い出産を予定していたので、禁酒3週間目に突入していた主人もドキドキです。

夜間の緊急入口は別館にあるため、産婦人科病棟からものすごく遠い。陣痛がおさまったら歩き、陣痛の間はしゃがんで耐えながらの移動。やっとの思いで9階の産科病棟へ。早速内診してもらいました。すると、「子宮口1〜2センチ。まだ掛かりそうだね」と驚愕の答えが。

私はこの「子宮口1〜2センチ」を1ヶ月前の検診から言われてきました。こんなに痛いのに変わってないの?!これをずっと堪えるの?!無理無理。

先生は「このまま入院してもいいけど、また陣痛が遠のいたら陣痛促進剤の予定まで入院になりますね」と。促進剤の予定は3日後に控えていました(事前に予約済み)。

私は陣痛の中、促進剤の日まで入院して個室しか空いていなかったとしたら…と頭の中でパチパチ計算し、

(約3万+食事代+その他)× 4日 = 多く見積もって15万円位?

ああ無理無理。出産費用にビクビクしているのにそれは無理だ、家で待機だと決断し、帰宅することにしました。お腹が痛いままお会計してもらい、17000円ほど支払いました。もう区から支給されているチケットは使い切っていました。懐も痛い。

また陣痛の合間に歩き、なんとかタクシーに乗って帰宅したのは午前7時。

夫には、何かあったら電話するからと仕事に向かわせました。

一人残った私は痛すぎて寝ようとしても寝られず、楽になる体勢を探るけれどどうやっても痛い。そうやって3時間のたうちまわっていました。そしてトイレに行くと結構な量の出血をしました。その後、またジョバっと何かが出た気がして、破水したのかも?という状態に。

でも破水がどんなものか分かりません。今まで破水した事無いし。

そもそも痛すぎて麻痺しているので本当に出たのかも定かでない。わからないけど、もうこれは破水ってことにして病院に向かおう!と決め、陣痛タクシーを手配し、次に病院に電話をし、旦那に破水と病院へ行く事を連絡しました。

※冷静で居られない状態で全て手配し、一人で病院へ向かうのが一番大変でした。

 

助産師さんに一人で行く旨を伝えると「大変だろうから、最低限の診察券と母子手帳だけ持って身軽で来て下さい!」と言ってくれたので入院バッグは持たず、とっさに手に取ったミニバッグだけ持ってタクシーに乗り込みました。

病院までの15分がものすごく長く感じました。病院に着いたのは午後1時。

正面玄関から入ると、普段通りすごい人。混雑をかき分け、エレベーターを待ち、4階の婦人科外来へ自力で向かいました。

行った事がある方なら想像できると思うのですが、婦人科までたどり着くには耳鼻科と一緒になっている待合ロビーを通ります。そのストロークが結構長いのです。その間でうずくまったりしたら注目を浴びてしまう!嫌だ!という思いがあって、待合室の手前で陣痛が治るのを待ち、タイミングを見計らって一気に走り抜け(る気持ち)ました。こんな時でも恥を捨てられない私。

婦人科に着きすぐに診察してもらうと、「子宮口5センチ」とのお言葉が!

「すぐ入院です。この状態ならすぐに麻酔打ってもらえるよ、結構頑張ったわね」と言われました。は〜私間違ってなかったんだ〜これ陣痛だったんだ〜頑張ったんだ〜。っていうか一度帰る必要無かった〜。

そこから車椅子に乗せられ9階の分娩台へ直行。手品みたいな早業で着替えさせられ、腰を押してくれる看護婦さんは天使だなと思いつつ、早く麻酔を…はよ!と思っていると、「麻酔の同意書はどこですか?」と聞かれました。あああ家に置いてきてしまいましたあああ!!!

という事で、寝ながら陣痛の中、同意書3枚にサイン。名前だけでなく住所も書かなければならず、自分でも読めない字でぐちゃぐちゃとサイン。これは事前に母子手帳に入れておくべきでしたね。

待ちに待った麻酔投与。

背中に針を入れた瞬間、体がビクッとなりました。動かないでと言われても反射的に。神経に刺激を感じますがその瞬間だけで、痛くはなかったです。

「5〜10分で麻酔が効いてくるので、次の次の陣痛から楽になりますよ」と言われた通り、すうーっと痛みが引き、看護婦さんと普通に会話できるようになります。

「あれ、立ち会い出産ですよね?旦那さんは?」と聞かれ、分娩台から電話。もう近くまで来てるとの事。数分後、到着した夫に「お!おつかれー」と普段と変わらないお喋り。

ふと看護師さんが、枕元に置いてあった私のミニバッグを見て

「清水ミチコって書いてある!」

と気づきました。そう、私が手に取ったエコバッグは清水ミチコ武道館ライブのノベルティだったのです。すると麻酔科の先生も「私学生の時、文化祭に清水ミチコ来たよ!」と清水ミチコの話でしばらく盛り上がりました。その位痛みは全く無くなります。

 

無痛分娩は9割の痛みを軽減するそうなのですが、全く痛みがなくなった私。

どうやら麻酔した事によって陣痛が遠のいたようです。(よくある事のようです)

既に破水していたため、促進剤で陣痛を促す事になりました。点滴で促進剤を入れてもらうと、また陣痛の波がやってきました。が、麻酔前の痛みに比べるとへのかっぱです。

ですが数分後、あれ、結構痛いぞ?と感じ始め、同時に胎児の心拍が下がり始めました。そこからバタバタと先生たちが集まり出産体勢に入りますが、みるみる弱まっていく胎児の心拍はついに止まってしまいました。

その直後「さあイキんで!」と言われました。イキんだ事無いのでよく分からないまま、自分なりにイキんでみました。「出てくる所を見て!口は閉めて!」と指導してもらいイキんでいると、「もうイキまなくていいよ!」と言われ、その時既にもう産まれていました。

出てきた瞬間に産声が無かったので不安でしたが、奥の方に連れて行かれすぐにおぎゃーと聞こえてきました。顔を見せてもらい、綺麗にしてもらうため子はまた奥へ。

その間私は胎盤出産と会陰縫合。これも全く痛みがなく、縫合中の先生と会話していました。これも無痛のいい所だよと先生がおっしゃってました。

 

5月12日、15:02出産。

結局最後は鉗子分娩となりました。トングのようなもので引っ張り出します。

この傷口が大きいため翌日から激痛に襲われるのですが、麻酔無しだったらどんなに痛かったんだろうとゾッとします。

病院に到着後2時間で生まれた訳ですが、出産の瞬間の痛みを和らげられただけでも、私は無痛分娩を選択して良かったと思っています。この選択をできる環境と時代に感謝です。この出産という一大行事を通して私は生まれたのだなと思うと、自分の母と世界中の母をただただ尊敬します。

※話に花が咲いた清水ミチコのミニバッグ↓

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